薬学理系コース１期生全員現役進学で高い注目（武蔵野女子学院中学校 ）

　三鷹、吉祥寺、武蔵境、田無、ひばりケ丘の５つの駅からバスが利用できる武
蔵野女子学院中学校・高等学校。大学、幼稚園が併設された１０万平方メートル
の広大な敷地は、まるで植物園かと見まごうほどに緑がいっぱいです。大正１３
年に築地本願寺内で創設され、８０余年の歴史を有する同校が新しいチャレンジ
を行っているということで尋ねてみました。
　１期生全員が現役合格を果たして注目集める薬学理系コース

　２００６年度、同校では薬学理系コースの１期生が卒業しました。２７名全員
が現役進学を果たし、うち１５名が明治薬科、東京薬科、共立薬科、星薬科など
の薬科大学に進みました。また、首都大学東京、北里大、東京農業大などへの進
学者もあり、普通コースの卒業生を合わせると、医歯薬獣医系大学の合格者は３
１名となり、過去３年間の５名、８名、１８名から大幅にアップしました。

　薬学理系コースは定員４０名。中学から高校進学時、希望者を募って成績上位
者２０名を選抜します。高校受験での入学者２０名を合わせて４０名とし、１ク
ラスを編成することとなります。武蔵野大学薬学部への優先入学ができるほか、
国公立や医学部受験も視野に入れたカリキュラムとしているため、同校の学校説
明会では毎回、多くの保護者の関心を集めているそうです。

薬学研究を身近に感じながら豊富な時間数で数学を徹底学習

　薬学理系コースで数学を担当している久保寺寛先生は、フランクな雰囲気を作
りつつ、大学時代の数学教授のエピソードなどを織り交ぜながら授業を進めてい
ます。

　「数学は解けた時のよろこびがなんとも言えない。それを伝えたくて教師にな
ったのです」と久保寺先生。大学入試では、当然、数学の配点割合が高いため、
一人ひとりの力を最大限に伸ばしてあげられるようにいろいろと工夫をしている
とか。「論理的に思考し、それを記述する力がすごく必要ですから、手順を踏ま
えて着実に論理を積み重ねていくことを強調しています。それから、ちょっと高
度な用語を使うこともありますね。知的好奇心や連帯感を刺激すると、記憶に残
りやすいのです」。

　同校の数学の授業数はもちろん標準より多いが、火曜日の７時間目を必修の補
習にあてるほか、希望者を対象に週２回、朝の時間に発展的内容として入試問題
に挑戦させている。夏と春の休暇中には薬学理系コース用の補習に加えて集中授
業を行う。「全員に教える授業と、きめこまかく指導できる補習や講習のバラン
スを取りながら、みんなを伸ばしたい。また、生徒も自分だけ良ければいいとい
うのではなく、教え合うのも実力になるのですから、共に伸びていってほしい」
とのことです。

　同校の広いキャンパスには薬用植物園や薬学研究所があるほか、高大連携授業
として、高３時に大学の授業に触れることもできるなど、充実した学習環境とな
っています。また、２００８年末には７つの最新型理科実験室を備えた新校舎も
完成します。

　大学での薬学の履修期間が６年間になったことで一部にはとまどいもあるとは
いえ、医学の進歩とともに薬剤師はますます重要な職業となっていきます。仏教
主義による人間成就の教育を行っている同校では、命の尊さや生きることの意味
を考え、倫理観を持って薬学理系の道を進んでもらいたいと願っています。